2017MFUマイスター≪技術遺産≫認証受賞者① 近藤健一

グッドエイジングキャンペーン

私たち日本人が、後世に伝え遺していかなければならない「メイド・イン・ジャパン」の技術力。
歴史と伝統からくるノウハウに裏打ちされた“ 技”“ 美”“ 心” を持つ受賞者を紹介します。

 

近藤 健一
オーガニックコットンの普及・伝道師

大正紡績株式会社 素材戦略/シニアディレクター

 

オーガニックは、きっと、人を幸せにする。

いきなり、オーガニックが人と地球を救う、といえば、少なからず戸惑いを覚える方もおられるだろう。

しかし実際には、世界各地にそうした事例がある。たとえばカンボジアには、長い内戦の末に地雷原と化した地域がある。そこでは、足を失って仕事を失くし、家族や土地も奪われた人びとがたくさんいる。そこがいまや、天然の白い綿花が広がる希望の地へと、変わりつつある。
子どもたちが近藤さんに言う。「お父さんに仕事をくれたから、僕は学校に行ける。ありがとう」と。
働く場所がないから、争いと犯罪が繰り返される。一方で、子どもたちに過酷な労働を強い、あるいは売り飛ばす。そんな悲しい地域が世界中にまだまだある。だから近藤さんは、どこにでも出かけていく。
オーガニックとの最初の出会いは、ブラジル駐在中に読んだニューヨークタイムズ紙の記事だった。
そこでは昆虫学博士のサリー・フォックス女史が、効率重視でこのまま農薬や枯れ葉剤を使いつづけていれば、カリフォルニアはやがて砂漠となり、人が住めなくなると警告していた。
近藤さんは、衝撃を受けた。これまで自分たちは、どれだけ地球を傷つけてきたのか。すぐさま博士の実験農場を訪ねた。さまざまな事例を知り、いまここにいる自分はそのために来たのだと、決意した。
近藤さんは香川県の琴平、金毘羅山の麓に生まれた。健一の名の通り、少年時代は毎日のように金刀比羅宮本宮への785段の階段を勢いよく駆けあがっていた。
同地は四国八十八か所札所巡りの主要ルートであり、弘法大師がお生まれになった善通寺も近い。また、最初に入社した紡績会社クラボウも、人をたいせつにすることにおいて類を見ない企業だった。そうした風土や環境が、いつしか、人の幸せをつくる仕事をしたいとの想いにつながっていったのだろう。
クラボウから系列の大正紡績に移っても、気風は変わらなかった。出張期間を合わせて10数年間を海外で過ごし、各国で紡績工場を立ち上げ、87か国もの産地を歩いてきた。
原料の畑から売り場までを物語でつないでいく。それを自分が率先することで、だれかが継いでくれるとうれしい。この国の繊維産業が生き返るヒントにもなるだろう。そう信じて、何度でも腰を上げる。
東日本大震災で塩水に浸かった東北では、お米ができる塩分濃度にもどるまで、塩水に強い綿花を推奨して栽培を始めてもらった。
大正紡績の地元、大阪府の阪南市はもともと産地だった。ここでも綿花の栽培を始めてもらった。
やれるところはたくさんある。
次に紡ぐのは、パーフェクト・メイド・イン・ジャパンの物語である。

 

 

 

大正紡績株式会社 本社・工場
〒599-0203
大阪府阪南市黒田453番地
TEL 072-472-1001

 

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