2015年MFUマイスター≪技術遺産≫受賞者紹介③

グッドエイジングキャンペーン

すべては、出来あがったもので、判断しなさい。

株式会社レナウンインクスいわき事業所 生産管理チーム

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機械は、何も語らない。
一方で機械は、雄弁でもある。編みあがったものを見れば、彼らの訴えていることがわかる。ほこり一つの変化が、すぐに製品の上に現れてくるからだ。しかも編み機は、1台1台が別の個性を有している。目でも耳でも測れないそれら個々の微かな変調を察知し、機械ごとに適確に調整していくのが技術者の熟練の技、あるいは鋭敏な感覚の領域となる。
いわき事業所には現在、計77台もの機械がある。しかもその編成は多岐にわたり、特殊機械も含めてじつに18種類にも及ぶ。最近になって導入した最新鋭のものも多いが、35年前後も働いてきたベテランマシンもある。双方に代えがたい良さがあり、企画にあわせてどの原料糸、付属糸を用い、どの機械で編み立てるかの設計をする。もともとハイゲージのものを得意としてきたが、96本から240本までという針数の多さによって、それらの自由度が格段に広がり、他社では対応しづらい高度なモノづくりを可能にしている。
1969年の設立以来、ずっと福島県いわき市小名浜島で活動してきた。ここでは、自社ブランドのイルレガロをはじめ、ライセンスのアクアスキュータム、ランバンコレクションなどの高付加価値商品などを中心に、100万足を生産している。糸加工から仕上げ、箱詰めまでの一貫生産で、百貨店向けの紳士靴下の国内生産比率は100%に近い。

しかし国内では、すでに多くの工場が海外に移転していった。もはや東日本では、数社を数えるのみとなった。おなじ荒波は同社にも容赦なく押し寄せてきたはずだが、自社工場の使命として、いかなるときも工場のラインを維持しつづけてきた。そしてこれを支えたのが、設立当初から技能向上に取り組み、1級技能検定にも合格した熟練技能者たち、鈴木幹雄さん、西丸茂さん、小野田之紀さんら3名の存在である。いずれも職歴40年を超えている。
ここで生まれた、特筆すべき製品がある。天然素材のなかでも伸性のない麻100%の靴下は、編むこと自体がむずかしいとされてきた。それでも試行錯誤を繰り返し、量産化を実現できたのは、彼らベテランの存在があってこそのことだ。事実、イルレガロ・フレンチリネン素材ペーズリー柄は2014年の「第20回靴下求評展」において、経済産業省製造産業局長賞に選ばれている。
技術は高ければ高いほど、継承が課題となる。が、その点でも、いわき事業所は先を行く。吉田豊之さ
んをはじめとする、若くして抜きん出た後継者たちが、すでに高いレベルで開花しつつある。大桐敏治事業所長たちが描く明日への、確かな根拠でもある。